『戦略プロフェッショナル』の概要、要約とポイント

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今回ご紹介するのは、『戦略プロフェッショナル』。

経営学を勉強している人は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

大逆転の企業変革を描いたストーリーです。

以下のような方におすすめです。

経営戦略を楽しく学びたい人

事業再生に興味がある人

戦略プロフェッショナル』の概要

文庫本 : 323ページ

出版社 : 日経ビジネス文庫

著者 : 三枝匡

値段 : 712円

このお話の主人公は、大企業に入りMBAをとり、社内では優秀と言われてきた広川という男。

彼が医療機器を作る小さな事業会社、新日本メディカルに出向し、企業の経営を改善していく、という、実話に基づいたストーリーです。

彼はどのようにして新日本メディカルの経営を立て直したのでしょうか。

彼が取った戦略、ポイントを見ていきましょう。

戦略プロフェッショナル』広川がとった戦略の概要

広川は以下のような戦略検討プロセスをとります。

広川のとった戦略検討プロセス

1.仕事の優先度を決める

2.全体市場を俯瞰する

3.戦略製品の抽出をする

4.製品の差別化能力を確認する

5.価格と利益構造をチェックする

6.戦略ロジックを策定する

7.組織の強み、弱みを確認する

8.戦略展開の時間軸を設定する

9.価値観の混乱化を起こす

10.新戦略と実行プログラムを打ち出す

上記の戦略検討プロセスの中からいくつかの戦略を取り上げて見ていきましょう。

競合ポジションの仮説を立てる

広川は、会社がどのような問題を抱えているのかを見極めるため、市場での競合メーカーについて、仮説を立てていきます。

会社が競争上でどのようなポジションにいるのかを知ることが大事なのです。

仮説を立て、現実とのずれをチェックし、ずれていたら仮説を修正し、さらに現実を見て仮説を検証し、というやり方です。

この仮説を立てるため、本書では2つの方法が挙げられています。

1.プロダクトライフサイクル

プロダクト・ライフサイクルとは、プロダクトが今どのような段階にいるのかを示すものです。

導入期、成長期、成熟期、衰退期。

市場が導入期や成長期の初期であれば、参入は簡単です。

成長期に入り製品が似たようなものになってくると、営業体制やアフターサービスなどが勝負の決め手となり、その後は価格での競争が始まります。

最終段階になると、競争上の地位がほとんど確定してしまいます。

著者は、ここで、プロダクト・ライフサイクルを完璧に理解しておくことを強く勧めています。

戦略を立てる上で欠かせない要素なのです。

広川は…?

ここで、広川は、新日本メディカルの新製品、ジュピターの市場の伸びが34%も伸びるだろうとの予測を見て、ジュピターはプロダクト・サイクルの成長期のど真ん中にかかってきていると予測しました。

2.事業の成長ルート

仮説を立てるためのもう一つの方法が、事業の成長ルート。

これは企業が進んでいくルートを3パターンで示した図です。

企業が時間を経るにつれてどのようなポジションにいるのかによって、3つにランク付けしています。

詳しい説明は本書に譲りますが、ざっくり、ルート1は「栄光」ルート、ルート2は「混戦・不安定」ルート、ルート3は「ドンジリ」ルートです。

ルート3症候群の特徴がいくつか挙げられています。静かでおとなしい、期限の設定が曖昧、リーダーシップが弱い、などです。

ここで、このような表面的な現象を一つ一つ正していこうとするのは、根本的な解決にはなりません。

低いレベルで社内が妙に落ち着いてしまっているルート3企業をよくするには、このバランス状態を、戦略的に崩すことが必要です。

成長企業は組織の中でどこか「突出」した部分があり、それが他の部門を引っ張る役割を担っているという、「アンバランス」な状態なのです。

そのアンバランスが、企業を前進させているのです。

「絞りと「集中」

繰り返し述べられていますが、戦略を考える上で一番重要なのが、「絞り」と「集中」です。

戦いの場を絞り、そこに社内のエネルギーを集中させていくのです。

「絞り」とは「捨てる」ということです。経営資源には限りがあるため、やらないことを割り切ることが必要なのです。

目標が高すぎて戦いの場が絞りきれない場合、集中させようにも戦場が広すぎるのでうまくいきません。

逆に、社内の多くが心安らかに受け入れてしまうような戦略では、競合企業にやすやすと負けてしまいます。

どんなに小さな市場セグメントでもいいからナンバーワンになることが、成長戦略のポイントなのです。

セグメンテーション

「絞り」、「捨てる」ための道具として一番有効なのがセグメンテーションです。

絞る対象によって事業戦略、開発戦略、営業戦略など幅広く使われます。

セグメンテーションとは、市場のなかを同じような購買性向を持った顧客グループにわけることです。

ここで、セグメンテーションをする際に注意しなければならないことは、セグメンテーションはシンプルなものではなくてはならない、ということです。

4×4の16コマに分類したところで、明確にその16個を区別できず、何が何だかわからなくなってしまいます。

どんなに多くても3×3ぐらいまでにしておきましょう。

広川は…?

ここで広川たちは、二段回方式をとります。

まずは病院のベッド数を3段階、病院の種別を国立とそれ以外にわけることで、2×3=6のセグメントを作り、それをランクづけしていきます。

そしてその結果をさらに2つ目のマトリックスの縦軸に持ってきて、横軸には「競合企業の客先かどうか」という要素を持ってきました。

そのマトリックスから、最終的なランクづけを行いました。

このように、二段回にわけることでわかりやすく、より多くのセグメンテーション要素を考えることができるのです。

シンプルな戦略

著者は、「良い戦略は極めて単純明快である」と言います。

営業マンが売りにいくときも、説明がシンプルなほど良い製品であり売りやすく、逆に複雑な説明をしなければならないときは大抵なかなか売れません。

製品の説明がシンプルで済むなら、そして戦略がシンプルなうちは、市場でナンバーワンになる可能性が大きいのです。

広川は…?

広川がとった戦略の一つが、「アドオン・プログラム」。

機械の初期投資をゼロにするため、初めにジュピターを無償で納入します。

その後、検査に必要な検査薬を通常価格に機械代金を加えた少し高めの価格、アドオン価格で販売します。

検査をたくさん行い、アドオン価格によって機械代金の支払いが完了した時点で、機械は病院のものになります。

機械を使えば使うほどその機械は早く自分のものになる、という至って、単純な仕組みです。

まとめ

もちろん細かいところは脚色を含むものの、このストーリーの中の大きな流れは全て実際にあったことです。

実際の出来事をいろんな立場から語っていくという小説のような構成となっており、楽しみながら読むことができます。

ストーリーの合間合間に『戦略ノート』として解説もあるため、企業変革のための戦略を学ぶという視点での読み応えも十分にあります。

広川は、新日本メディカルにおいてジュピターの販売数をどれだけ伸ばすことができたのでしょうか。

詳しく気になる方はぜひぜひ読んでみてください。

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